研究紹介


Smelling Screen

 モニタ画面の前面に局所的な香り分布を作り出すことで、あたかも画像から香りが漂ってくるように感じさせる装置です。モニタの四隅に1個ずつファンが設置してあり、上下のファンは向かい合わせになっています。ファンで気流を生成すると、上下から来た気流が衝突して進行方向が変わり、横向きに流れます。横向きの気流が画面上で再度衝突すると、気流は最終的に画面から離れる方向に向かいます。この気流に香りを混ぜ込み、モニタ画面の前に局所的な香りの分布を作り出しています。ユーザがモニタ画面の正面にいると、モニタ画面上の気流の衝突点から香りが漂ってくるかのように感じられます。四つのファンで作る気流の強さのバランスを調整すると、四つのファンで囲む範囲内において、最終的な気流の衝突点の位置を二次元的に移動することができます。画像の位置に合わせて気流を衝突させることで、画像から香りが出ているかのようにユーザに感じさせることができると期待されます。将来的には、香りが出る電子広告などの応用を考えています。

Smelling Screenのイメージ

(コーヒーの画像から香りが漂ってくる)

Smelling Screenによる香りの提示原理


関連文献



嗅覚アシストマスク

 視覚や聴覚に関しては、それぞれ眼鏡や補聴器といった道具を用いて感覚を補助することができますが、嗅覚に関してはそのような装置は開発されていません。そこで、人間の嗅覚感度を擬似的に高める装置の開発を行い、嗅覚アシストマスクと名付けました。ガスマスクの前面にガスセンサを取り付け、ユーザの周囲に漂うガスを検出します。ユーザが背負っているリュックサックの中には、コンピュータと匂い提示装置が入れてあります。コンピュータがガスセンサの応答値を読み取り、センサが検出した濃度変化に基づいて、人間がはっきりと感じられる別の種類の匂いで検出した濃度変化を作り出すよう、匂い発生装置に信号を送ります。生成された匂いは、チューブを通してガスマスク内に提示されます。嗅覚アシストマスクにより、人間の周囲に漂うガスが希薄でも、その濃度変化をはっきりと感じることができるようになります。

関連文献


深層学習を利用したガス源位置推定

 廃棄物埋立地では,廃棄物の生物分解によりメタンガスが発生しています。メタンガスは可燃性があり,二酸化炭素に対して20倍以上の温室効果があると言われています。このように有害なガスは,定期的にモニタリングすることが求められますが,廃棄物埋立地全体から一様に排出されているわけではなく,場所によって排出量が異なります。他よりも排出量が大きい場所は,ホットスポットと呼ばれます。埋立地全体の排出量を正確に測定するためには,ホットスポットを探し出してガス濃度を計測することが効果的です。屋外では,時間と共に風向が激しく変化し,数秒前とは真逆の方向に風が吹くことも珍しくありません。そのため,ある一瞬のガス分布だけではガス源の位置を正しく推定する事は困難です。そこで,ガスセンサアレイと風向風速計を地表に設置し,ある程度の長さのガス分布と風向風速を計測し,ガス源の位置を推定する方法を提案しました。ガス源の位置は,時系列データ処理に用いられるCNN-LSTM深層学習ネットワークを使って学習させます。従来研究で屋外環境で行ったガス源位置推定実験では,ガス元位置特定の成功率は60%でしたが,開発した手法を用いたところ,95%程度の成功率でガス源位置を推定することができました。

 

 

センサアレイと風速計の配置例

(C. Bilgera et al., Sensors, 2018)

ニューラルネットワークの構造

(C. Bilgera et al., Sensors, 2018)


関連文献